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生体分子の気相分光

【信号の観測とスペクトルの測定@】

前節では、私たちが測定対象としている水和クラスターの生成について説明しました。

この節では、生成されたクラスターの電子スペクトルを測定する手法について説明します。通常の可視/紫外吸光光度計による吸収スペクトルの測定とはまったく異なる手法であることがわかるでしょう。

 

@ 二光子共鳴イオン化法

生成された水和クラスターに紫外レーザーを照射することを考えます。図6は照射した紫外レーザーの波長がクラスターの吸収波長に一致したときのエネルギー図です。

      図6.二光子共鳴イオン化

図6のように、照射した紫外レーザーがクラスターの電子準位に共鳴するとクラスターは励起されますが、励起したクラスターが基底状態に緩和するよりも早くもう一光子吸収すると、クラスターはさらに励起され ます。このとき、クラスターのエネルギーがイオン化エネルギーを超えるために、余剰エネルギーを放出してクラスターはイオン化します。

レーザーが準位に共鳴しないときにはイオン化が起こらないため、照射する紫外レーザーの波長とイオン強度との関係をプロットすることによって電子スペクトルを得ることができます。これは「二光子共鳴イオン化(R2PI*)法」と呼ばれ、気相分光で多く用いられる手法の一つです。

POINT 紫外レーザーがクラスターの電子準位に共鳴したときにのみイオン化が起こる

*R2PI: Resonant 2-Photon Ionization

 

A 信号の観測と質量選択

二光子共鳴イオン化法によって生成されたイオンはどのように検出されるのでしょうか?実はここに、この手法を利用することのもう一つのメリットが現れてきます。

前節で水和クラスターの生成に関する説明を行ってきましたが、前節の方法では図7のように様々な大きさのクラスターが生成されてしまいます。

               図7.グアノシンのクラスターの例

これらのクラスターについてそれぞれ独立にスペクトルを測定するため、R2PIによって生成されたイオンは飛行時間型質量分析装置(TOF-MS)へと導入されます。それではこのTOF-MSについて詳しく見ていきましょう。

 

       図8.TOF-MSの原理図

図8に示したように、UVの照射によって生成されたイオンは電場によって図上方のイオン検出器へと飛ばされます。このとき質量の大きいクラスターほど速度が遅くなるため、イオン検出器に到達するまでの時間が長くなることがわかります。このようにイオン化から検出器に到達するまでの時間で質量選別を行う手法を飛行時間型質量分析と呼びます。

以上のことから、特定の質量のクラスターの電子スペクトルを得るためには、照射した紫外レーザーの波数特定のタイミングで検出器に到達したイオンの強度との関係をプロットする必要があることがわかります。また、この方法で測定されたスペクトルを「二光子共鳴イオン化スペクトル」と呼びます。

POINT 二光子共鳴イオン化スペクトルは質量選択的に電子スペクトルを測定できる

 

図9に示したのは以上の方法によって測定されたグアノシンの二光子共鳴イオン化スペクトルです。

図9.グアノシンのR2PIスペクトル (a)単量体イオン(b)一水和物イオン(c)二水和物イオンの質量で測定

 

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