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生体分子の気相分光

【信号の観測とスペクトルの測定A】

前節では、質量選択的に電子スペクトルを測定する手法を紹介しました。この説ではさらにもう一歩進んで、異性体選択的に振動スペクトルを測定する手法について説明します。

 

@ 異性体選択とは

例として生体分子の一水和クラスターについて考えてみましょう。前節ではクラスターサイズにのみ注目しましたが、実は同じ一水和物でも複数の異性体が共存していることがあります。

例えば私たちが過去に構造決定を行ったグアノシンの一水和物では、最低でも図10に示した4つの異性体が共存していることが明らかとなりました。

            図10.グアノシン一水和物の4つの異性体(質量は全て同じ)

これらの異性体は当然紫外吸収も赤外吸収も異なります。それにもかかわらず、前節で紹介した方法では質量選択しか行っていないため、一本の電子スペクトルに複数の異性体由来の吸収ピークが現れてしまいます(図11)。

              図11.グアノシン一水和物のR2PIスペクトル

このように複数存在する異性体をわけて振動スペクトルを測定する手法が、次に説明する「赤外-紫外二重共鳴分光法」です。

POINT R2PIスペクトルには複数の異性体由来のピークが現れる

 

A 赤外-紫外二重共鳴分光法の原理

前節では、照射する紫外レーザーの波長を掃引することで電子スペクトルの測定を行いました。それでは、紫外レーザーの波長を固定するとどうなるでしょうか?

すぐにわかるとおり、R2PIスペクトルのピークで紫外レーザーの波長を固定すると常にイオン化が起こるため、信号は常に観測されます。このとき、紫外吸収は異性体によって異なるので、波長を固定して観測されている信号はただ一つの異性体由来であることがわかります。

ここで、紫外レーザーよりもわずかに早く(〜100ns)赤外レーザーを照射することを考えます。図12は照射した赤外レーザーがクラスターの振動準位に共鳴したときのエネルギー図です。

図12.IR-UVホールバーニングの原理

図のように、照射した赤外レーザーがクラスターの振動準位に共鳴すると、基底状態にあるクラスターの数が減少してしまいます。その結果として、紫外レーザーによって(R2PIによって)観測されるイオン強度も減少することがわかります。このように、観測されるイオン強度の減少によって振動スペクトルを測定する手法を赤外-紫外二重共鳴分光法と呼び、図10に示した4つの異性体もこの方法で構造決定を行いました。

図13はこの手法を用いて測定された振動スペクトルの一つです。

図13.グアノシン単量体の振動スペクトル

POINT 信号の減衰によって異性体選択的に振動スペクトルを得ることができる

 

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